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腰椎疾患が原因の腰痛や下肢痛に対して手術を受ける前にPLDDの検討を勧める理由

2019.04.10

耐えがたい腰痛や足のしびれや痛みの原因として、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、変形性腰椎症などさまざまな背骨(椎体)のトラブルが挙げられます。

椎間板ヘルニアは背骨に過度の荷重が不自然にかかることによって生じやすく、身体活動の豊富な若年でも発症し得ますが、上述の他の疾患は、不自然な姿勢や肥満などが骨格に与える影響、筋力の低下や骨量の減少などから徐々に形成されるため、加齢が進むほど発症しやすいという特徴があります。

そして、高齢になるほど、椎間板ヘルニアに加えて上述の複数の疾患が複雑に併発することが多く、慢性痛の原因となる腰椎疾患の治療は単純に立案できないのが実情です。すなわち、長く続くつらい腰痛や足の痛みから解放されることを願って、治療手段として安易に手術を選択すると、その結果症状の改善が得られないばかりか、むしろ症状が増悪することがあります。そのために、腰椎疾患の担当医は治療戦略に関して深く考察検討することが求められます。

 

日本の、腰痛を含めた慢性痛に対する医療は世界基準からは大きく遅れているという指摘があります。例えば、日本の医療現場では、腰椎疾患に対して手術が必要か否かを判断する場合に、症状と画像所見のみを判断材料にすることが多いようです。

年齢、社会的な環境(術後の周囲のサポート体制など)、心理的要因、症状や苦痛の本質などはあまり重視されていないと聞きます。国際的には痛みの管理は行動科学(人類学・精神医学・心理学・社会学を統合した学問)を基盤とした集学的治療が必要とされていることを鑑みると、前述のことが事実であるならば日本の慢性痛治療は短絡的かつ未成熟であると言わざるを得ません。

 

腰痛疾患に対する手術に限るわけではありませんが、日本の手術技術のレベルは国際的に相当に高いと言えます。しかし、背景が単純ではない慢性疼痛に対する治療戦略の立案過程や方法については、恥ずかしながら日本は国際的に相当遅れている可能性があります。

現に、高齢者の腰椎疾患における手術的治療においては症状の改善は一時的であることが多く、手術後まもなく術前と同等かそれ以上に激しい疼痛症状が再燃するケースを多々目にします。手術後の症状再燃例に対しては、強い内服薬を使用し続けることになりむしろその薬剤の副作用が問題になることも多々あります。

 

高齢者の複雑な疼痛症状は特に、安易に手術を選択するのではなく、運動療法や体重管理・栄養管理などが極めて大切だと言えます。

実例として、ある有名な整形外科医を受診し、脊柱管狭窄症と診断され、日帰りの手術を受けて症状が劇的に改善したものの、その1か月後には症状が再燃し、結果として薬漬けの状態になってしまったという話があります。治療の最終手段として手術しかないということはもちろんありますが、体への負担が相応に大きい治療を安易に選択すべきではないでしょう。

 

その視点においても、椎間板ヘルニアに対する低侵襲レーザー治療であるPLDDは、メスを入れる手術に踏み切る前に、治療選択肢の一つとして適応を検討する意味があると考えます。PLDDでは骨のずれや、曲がりを修正することはできません。しかし、そのような物理的変形に椎間板の変異が合併し、椎間板ヘルニアを呈していることはしばしば見受けられます。

すなわち、複雑な高齢者の腰椎疾患においては高頻度で併発している椎間板ヘルニアを体に負担が極めて少ないPLDDで治療することにより痛み症状が改善して日常生活の質が大きく向上することが期待できる場合があります。その意味では、メスを入れる手術が適応とは言えないものの有効な治療法が見いだせない場合に、PLDDの存在意義は大きいと言えます。

もちろんPLDDが万能と言うわけではありません。腰椎疾患の病態は多岐にわたります。もし椎間板ヘルニアの要素を全く伴っていなければ、そもそもPLDDは選択できません。また、中には椎間板がすり減ってしまっているという場合もあります。そのような場合もPLDDは全く治療効果が期待できません。

 

PLDDを提供するにあたって、当院においては上記の事実をしっかりと踏まえたうえで、治療適応と治療後の症状改善度をしっかりと吟味することを極めて重視しています。その結果、より適切な治療法はPLDDではなく、姿勢や栄養面の改善や体重管理、もしくは動療法である、と判断せざるを得ないことも実際には少なくありません。

そのような視点に立って、症状の緩和が少しでも期待できる場合にはPLDDにトライする場合もあります。PLDDを施行しても症状の改善が不完全になることが予測される場合は、ことさら患者さんへの説明と同意を得る作業が非常に大切になります。

そしてPLDDを実施した後、症状の改善に時間を要することもあります。すなわちPLDDを実施することだけではなく、治療前や治療後の診療も極めて大切であると考えています。

 

また、現在、PLDDが適応外の慢性疼痛の患者さんに対しても別の低侵襲で有効な治療法を提供できないかについて検討しています。一つの方法として、患者さんの脂肪組織由来の幹細胞を培養増殖して再び体に戻す再生医療に注目しています。

 

脂肪由来の間葉系幹細胞を用いた修復治療は、変形性膝関節症や腰椎疾患に由来する慢性疼痛に限らず、脳梗塞後の神経症状や虚血性疾患そして認知機能障害など難治性疾患に対する治療として、これからは普及する可能性があります。

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