椎間板ヘルニアになる原因はどこにある? 2pldd-doctor-blog

椎間板ヘルニアは発生させる原因を考える第2回目は
“体重”の話です。

体重が背骨にかける影響については議論の余地はないと思います。
同じ姿勢で生活する場合、体重が重たい方が
背骨にかかる負担が大きいだろうことは容易の想像がつくでしょう。

標準的な体形であれば
ウエストから”上”の重さは全体重のおおよそ65~70%程度。
体重が増えるともちろんいろいろなところに脂肪がつきはしますが、
体幹部の増加分はやはり大きくなります。

しかも実際には人は直立不動ではありません。
普通は腰を曲げたり伸ばしたり、横に反ったり
首を傾げたり、うつむいたり…
いろいろな角度に動かしながら生きています。

背骨をニュートラルな位置から数度傾けると
曲げたところには実際の数倍の重さがかかります。
体重が60kgの人は
腰より上の重さはおおよそ40kg程度となりますが
この人が前に体を傾けた場合
最大で数百kgの重さが曲げた部分にかかってしまうこともあります。
首も同様。
頭の重さは日本人では体重の10%程度の重さがあると言われていますので
体重60kgの人の頭の重さはおおよそ6kg。
両手でこの重さを真上に持ちあげてみるとわかりますが何分ももちません。
これを四六時中持ち上げてじっとしている首の強さには感服するでしょう。
自覚はできないかもしれませんが、
背骨はこうした重さを日々支え続けているのです。

こうしたことからもちょっとした体重の増加が
いかに大きな影響力を持つかがわかっていただけると思います。

前回お話ししたように悪い姿勢は非常に大きな要因なのですが
姿勢を矯正することは容易ではありません。
実際には年齢が高くなれば高くなるほど
悪い姿勢になじむ形で背骨を取り巻く関節、軟骨、靭帯は
すでに変形してしまっていますので、
ずっと姿勢に気を付け続けても、
楽にその姿勢を維持できるようになり、
背骨自体もその形に矯正されるのには数年~10年程度かかります。

そう考えると体重を減らす方が時間的には圧倒的に早いことが分かります。
事実、体重を減らすとヘルニアだけではなく、脊柱管狭窄症などであっても
症状の出方が弱くなったりすることはよく見られます。

椎間板ヘルニアだけど、大きな治療を受けたくはない方。
減量してみる価値はあると思いますよ…。